日常がパフォーマンス(エピソード by 堀尾あや)

いつもあちこちを走り回っている父と、めったに家に帰ってこない娘が、

お正月で久しぶりに時間を持て余した正月のお昼過ぎ。

父に誘われ、ふたりで近所の海岸までのんびりと自転車を走らせた。

 正月ということもあり、人気のない静かな砂浜 。晴れ男の父に合わせて空は晴天。

海をゆっくりと眺めるていたのは、ほんのわずかな時間。 

父が浜辺に転がる打ち上げられた流木たちを捉えた瞬間に、空気が変わる。

急に始まるパフォーマンス。

迷いのない手つきと、無言のまま溢れ出るエネルギー。

穏やかだった冬の海岸がに、力強い痕跡が砂浜に残されていく。

気づけば寒さも忘れ、その勢いと楽しい空気に引き込まれて、

夢中で携帯のカメラで、私しか見ていない贅沢な瞬間を撮影していた。

ひとしきり動いて満足し、父はさっさと作業を終え、また何事もなかったかのように自転車に跨がって帰路につく。

後には、誰もいない静かな海岸と、そこに突如として残された力強いパフォーマンスの痕跡。

通りかかった者が目にすれば、思わず足を止め、何か大きなエネルギーの気配を感じるのか、

もしくは、波や風がゆっくりと痕跡を消していく、自然とのパフォーマンスは誰の目にもとまらないままなのか。

 日常のあらゆる瞬間をそのままアートにしてしまう、堀尾貞治の日常を共に体験するという、

楽しいお年玉をいただいた、2013年1月2日須磨海浜公園の思い出でした。

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