
小池昭子さんにインタビュー <堀尾貞治との二人展について>
– 小池さんが貞治と二人展をする切っ掛けは?-
LADSに堀尾さんの作品展を見に行ったんです。
夕方でほかにお客さんがいなくて、喋っていたら、 「今度なんか二人でやらなあかんな」って急に言われたんです。
私は合同展しか出したことなくて作品展なんかやったことないので、びっくりして、「えっ? 何をするんですか? パンですか?」って。「 一度、パンがどんなもんか家に見に来てください。」って言ったんです。
それで見に来てくださった日に、「昨日の晩、描いたんや。」ってスケッチブック1冊にエスキース描いて持って来てくださったんです。その通りにはならなかったですけどね。もう堀尾さんの中では、二人展をもうやることになってて、パンでやる事になっていたんです。
それから、月に1回ぐらいで、4回ほど我家に通ってくださいました。
堀尾さんは、素材に出会ったらすぐに扱いができる人ですね。 パンって、手の加減がわりと難しいけれども、「こんな風にするんです。」って言ったら、上手に扱われるんです。
それで、パンで色んな形作ったり、堀尾さんが持ってきた物を載せたり、巻いたりして、オーブンに入れたんです。そしたら、何かくさい臭いが漂ってきたんです。びっくりして見たら、樹脂の物を使ったらしく、それが溶けてたんです。パレット、 それが樹脂だったみたいで。出したときにそれがちょっと溶けていて、 「ええなこれっ!」って言われて、気に入られたようです。
私も「あ、こんなに、なるんや、樹脂は。」と思って。 これで学習して、私も何度か、自分で使わせてもらってます。
狭い台所で作るんですけど、 私は小さいから大丈夫なんですけど堀尾さんは上の袋戸棚に頭を打たれるんです。「痛っ!」って何度も繰り返して。申し訳ないと思いながらもおかしかったですね。
– お面の作品を作ろうって決まったのはどの段階だったんですか? –
1回目の制作の時に、パンに載せたりした物と一緒にお面の絵を持って来られたと思います。次回にはパンでお面を作ろうということになったのかな。
そこでびっくりさせられたんですけど、 私がお面の形にパンの土台を作るんですけど、堀尾さんはお面を見たらすぐに写せるんです。何度も見なくても、切り込み入れたり色塗ったり。「1回見たら覚えられるんですか?」って聞いたら、「えっ?」って。堀尾さんの目にはその絵が写真のように映るんですね。
その後に、”コロン コロン”をしてくださったんです。
「いつもは100均の墨汁を使うねんけど、ちょっと今日は気ィ使って、ええやつ買うてきたわ。」って言って。ええ墨汁を持ってきてくださいました。
”コロン コロン”は、何種類かやったんです。バゲット状の物、コロンコロンの文字、ボール状のパンを用意して。
うちの中でやるんですけど、なにしろ狭い家で大きなスペースはとれないので、新聞紙やレジャーシートをできるだけいっぱい敷き詰めて、そこに和紙を広げて。
「気ィ使うわ~」って言いながら、 周りに墨汁をこぼすこともなく、上手にころんころんしてくださいました。
いつもの“コロンコロン”の石がパンに変わって、転がすものがパンだったんです。
筆と墨汁と和紙を用意して来られて。 私は普段は“口に入れられる素材”を使いますが、この時は食紅とかを使わずに墨汁を使ったんです。
– その転がしたパンはどうなったんですか?-
そのパンは展示しました。 素材として「これを転がしました」っていうふうに、出来上がった和紙と素材のパンの両方を。
これは、スペース草「パンによる」っていう一番最初の二人展です。
最初の打ち合わせに持ってきてくださったエスキースは壮大なイメージで、その通りには全然ならなかったけれど、こういうふうにして作っていかれるんやなっていうのを経験しましたね。
スペース草の「パンによる」に展示した作品は、その一部を、2回目のストリートギャラリーで展示したんです。1か月の展示期間中に毎週展示替えをして。
その後、ストリートギャラリーで展示した素材を使って、オフィスの2001企画にも使ってもらって、3回利用できたんですね。
制作自体は、家にきてもらった4回の制作で貞治と二人で作ったもの。 で、もうそれ以降はパンで二人展はしていません。
制作は、1回目にあの“樹脂”を含む小さな作品を作って、2回目からお面を、二回で作ったと思います。 最後に“コロンコロン”をしたように思います。
– 小池さんはそのパンでやる以外にも、貞治と2人展っていうのはやっていらっしゃいますよね。-
はい。 1回目がスペース草「パンによる」で、その次が夙川のR&Pギャラリー、「同時空間 50+50=100のオブジェ」 。
堀尾さんが50個、私が50個、合計100個。それぞれが3ヶ月ぐらいの間に毎日一色の色塗りをして、 当日持って行って展示するという作品展でした。
3回目は、 スペース草「四角いっぱい」展。 四角なら何でもOKというので、
4回目もスペース草で「赤ならなんでもOK」というテーマでした。 4回もしましたね。
ストリート ギャラリーも入れると5回。
ーパンのインパクトがすごかったので、毎回パンぐらいのイメージだったんですけど、最初だけがパンだったんですね。ー
パンのは1回目だけ。 あとは、堀尾さんがお題をくださって、それを、 ある期間それぞれが作って、当日持ち寄って、「おっ!」と、 見せ合うというやり方でした。
私は、ただただ宿題をこなしていくように持っていくと、堀尾さんは上手に展示してくださるんです。 びっくりするような展示の仕方で。 それでなんとか形にしてもらったような気がしますね。
「赤にならなんでもOK」のときに赤い毛糸を引っ張ろうと思って持っていったら、 入り口からスペース草の一番奥のドアまで引っ張っていかれて。
「あ、こういうふうに使えるんやな」って思いました。 いろいろ教えてもらいました。
「四角いっぱい展」のときには、私が編みもので、長さ2mくらいの四角の続いたようなものを作ったんですけど、それを、ビーッっと、びっくりするぐらい引っ張って倍ほどの長さに。 紐のようになったのもすごい印象的でしたね。
それを気に入ってくださって、「これ貰ってええか?」って。
本来そういう使い方絶対しないのにというところに持っていったりするから、面白いですよね。
<語り部:小池昭子 聞いた日:2026年10月 聞きまとめ:堀尾あや>





2011 堀尾貞治x小池昭子二人展 「あたりまえのこと(パンによる)」スペース草(豊中)
2011 堀尾貞治x小池昭子二人展 「あたりまえのこと(パンによる)」STREET GALLERY(神戸)
2013 堀尾貞治x小池昭子二人展 「50+50=100のオブジェ」R&Pギャラリー(夙川)
2015 堀尾貞治x小池昭子二人展 「四角いっぱい展」スペース草(豊中)
2017 堀尾貞治x小池昭子二人展「あたりまえのこと『赤ならなんでもOK』」 スペース草(豊中)

