2003年3月発行海月通信第20号掲載

日々の生活の中でいろ々とあるが、そのどれをとっても普通のことなんだが、それがある人にとっては普通でないことがある。
目が片方悪いとか、足がふんばれないとか、言葉がつっかえるとか、頭いたがつづくとかいったことが普通になっている人にとって普通のことがどれだけありがたいかということがよくわかる。ところがどこも悪いことのない人はどこかに悪いところのある人のことがわからない。このわからないという普通のことがわからない。人間というのはいくらいわれても、聞いても実際にその境涯に入っていかないとなか人々のいたみはわからない。
普通というのはよく考えてみるとひとつも普通のことがないというのが普通である 。だから僕は片目がないのが普通だとおもった。1995年7月14日 MEMOより