2004年11月発行海月通信第30号掲載

毎日のようにエスキースを描いている。エスキースもただものを写生するものと、考えで描くものとか色であるとか形のおもしろさであるとか色々と方法を変えてエスキースをとっている。
そうした自分のしたこともある時間をおいてながめると、その時に考えていたことが、つまらんことに思えたり、なんでこんなことが面白いかと思ったりする。それは時間と共にみえ方や考え方が変わったので当然であるが、逆に時間と共にどうしてこんなことが描いてあるのかと思うことがある。その時は又ちがった考え方で描いているのであるが、そのちがった考え方とかをはなれて、その描かれたものが自立して絵として存在していておもしろいことがある。もちろん絵がヘタであるから出来たようなことであるが、絵とは自分の考えや表現を超えて、それそのものが面白いということが面白いことで、自分のしたこともわからんようなことが、絵の本質と深く関わりあっていることなのかも知れん。1996年7月10日 MEMOより