2015年6月東京の看板

2015年9月発行海月通信第95号掲載

 東京三鷹のギャラリー由芽の個展で、あやと二人で行った。そのついでに渋谷にあるワタリ美術館で「ワタリ古今東西の100人展」というのに自分の作品が出ているので観にいった。

 その美術館へ行く道を間違え判らず、探し回っていた時の事。ふとビルの一角を見上げたら頭上30米ぐらいのところに、取り残されたデカイ看板があり、その看板の内容は何年も放置されていた為ボロボロに紙が浮いて風と雨で無色で、わずか風で取り残されたものがヒラヒラしている。この在り方がたまらなく何故か心を爽やかにしてくれるのである。そして少し10米程離れると同じ仲間(看板)がいて20〜30米の頭上に出現、看板たちは何故か声高らかに胸を張って僕に声をかけて来る。静かで優しく僕を包みこんでくれるのである。この思いがけないモノと遭遇した時一瞬にして、引き付けられるといった心の自然の高揚を、素直に感じる事ができた。

 美しいモノをつかまえるのは、自分の心にいるのだと思った。   2015年7月27日

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