2006年1月発行海月通信第37号掲載

毎日作品作りをしていると、頭の中で考えている事と実際に考えを形に置く事との間の誤作を実感する。特に平面の絵ではあまり感じないが立体の作品になると、そのものの存在よりその周辺であるとか相手とか場所との関連で考えている。随分と大きい誤作を感じる。 誤作と云っても何も悪いと云っているのでなく、自分の想像と違うと云う事である。作品とはその誤作も取り込んでやらねばならんのだが、場所の記憶くらいでは自分の想いとは随分と離れている。
作品だけでなく人間が生きている事もそのような事でないかと思う。その事を悪いとしては面白くなく、ただ誤作というだけに留めておくとその事が随分と豊かさになって来る。1996年3月25日 MEMOより