あたりまえのことポーランド(ヴロッワフ)

2016年3月発行海月通信第98号掲載

 ポーランドのヴロッワフから帰りだいぶん時間がたってしまったが、今のずれた時間で記憶を綴るのもいいかと思い、書くことにします。

 2015年は1月のアントワープから最後のポーランド(ヴロッワフ)まで4回も外国へ行ったのですが、考えてみると、不思議な感じである。昔は死ぬまでに1辺でいいから日本を離れて外国へと思っていたのが、次々とである。ポーランドは初めてで、寒い寒いと驚かされていたのが、暖冬で日本と変わらんかったのでよかった。

 我々の関わる会場は、旧教会を使用してると聞き会場に着くと、さすが首が痛くなる程高い天井、その下に3M高ぐらいのパネルが設置されていて、ここが堀尾さんの場所ですと原口さんから聞き、さてそれからの展開であるが、何かこの教会の天井高さと勝負のような気がして、「かあー」となって、何かその辺の高さの取れる棒など無いかと息巻く。原口、山下、友井がまあちょっと考えて、明日にやろうと云う事であつた。その時山下君が高さも取り込むような方法を考えた方がいいと一言。この一言で僕の頭の展開が変化。それはその場所をしっかり見ると云う事であった。後は仕事があるだけでトントン調子に仕事完了。自分のやった事をウジ々と頭の中で考え続けるのが、昔の自分だったが、何かオジンになって潔く頭は切り変わっていた。

 その後は美しいヴロッワフの風景を楽しんだ。とにかく街の道幅が広く、路面のその真中に2連結の市電が走っていて、空に線を引っ張ったような電線が伸びやかにテンションされていたのが、とても絵画的な印象で美しく心を開放された。あまり高い建物もなく、よく外国映画で見た街並みや教会等々、見て歩きまくり、夜はクリスマスを迎える美しい街灯りの店が並び、僕が子供だったらメチャ興奮するだろうと思ったりした。印象にあるのは、ネオンサインのネオンのコレクションをした、画廊でもなく美術館でもないが、初めての場で街なかのビルに昔のネオンを、ぎっしり取り付けているのが、スゴク嬉しくしてくれた。ヴロッワフの駅も大学の建物や教会の屋上からながめた風景も圧感で、山がないので、どこまでも街の風景が視覚の届く限り一望出来、三百六十度、水平線がけぶって見えたのも印象深い。大学の資料館のようなところで、昔の記録が映像で流れていて、ドイツやロシアとの戦った後に、街の復興が流れていた、そして街なかで戦いの銃弾の痕が残っているのも生々しく見ることが出来、今静かな時間の中でそれらの歴史が、嘘のように静かに続いていて、また自分もここにいる事を不思議に思った。   2016年1月21日

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