2018年9月発行海月通信第113号掲載

このたび、ベルギーのアントワープの個展と、前々からの約束の紙による作品制作で、アントワープで一週間、息もつかない状態で仕事を終えて日本に帰り、約2ヶ月と時間が経って、あれは何だったのだろうと思っている。今まで沢山自分なりに考えて仕事をして来たが、今回は考えるという表現が入らなくて、行為だけで終わってしまった実感が自分には残っていて、不思議なものを感じている。
日々一分打法という早描きの絵を描いている自分なりの表現方法を続けて、30余年になっている。この行為の積み重ねが、今の自分の言葉や形になって来ていると思う。物事は比較がないと、その事の本質が見えにくい。僕の今という時間の形が、この一分打法から出て来ているのは、自分だけの実感で説明がつかん。この説明のつかんものが、新しい言葉なんだと思う。それは時間なんだと思う。考えなくても作業するのは時間なんだと思う。この説明のつかん時間。僕の美というか創作を展開させる、エネルギーだと思う。
とにかく続けていく事で、何かが変化して来ている。
美= 時間が創る。 2018年7月31日 朝 アントワープの仕事で思うこと

