心とめることなく

2004年7月発行海月通信第28号掲載

 人間というのは、お金が出来るとお金に、時間が出来ると時間に、地位が出来ると地位に、うぬぼれるとうぬぼれたように、親があると親にたより、いつもどこかにたよって生きているし、すぐに安心したがるのである。創作上のことでも自分のスタイルや何かこれがオリジナルな自分だけのものが出来たりすると、もうそれにあかをためこんでふんぞりかえり、くさりきってしまうのである。

 それが普通の人間である。もっと大きな視野からみれば小さいひとつのことにすぎないのであるから、生きている時にどんどんと自分の新しいことをするべきであって、そのやったぶんが自分の豊かさになるのである。わけのわからんことの中に真理はかくれているのであって、我々の揣摩憶測では計り知れない無限大のおもしろいことがかくれていると考える時、心をとめているひまはないのである。常に新しいものが充満しているのがこの世と信ずればおのずと心は動かざるをえない。1997年9月18 MEMOより

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