2013年1月発行海月通信第79号掲載

同じものを同じところに持ってきても、同じでなく、同じと云うことで覚えているだけである。同じものと云うのは悪いイメージを作っていて、変わるというのが良いことのように云うが、同じものは何一つないのである。
ところが同じ形のものを作ると同じ。と云うようにして片付けてしまう。同じということの方が、もっと同じでないのである。同じかたちや同じ色におなじように近づける、と云うのは返って同じという処から遠くへ行ってしまうのである。同じと云うことのこだわりは、いつも新しくありたいと云う人間の心底にある願望のことである。へたをするとこのことが、ガン細胞のように、その人の心や物を見る時の自由を奪い去っていることが多い。
同じと云うのは楽しい事と切りかえて。1996年12月2日 MEMOより